この記事では、ランナーの体を動かす炭水化物(糖質)の働きについて紹介していきます。
- フルマラソンを走り切る体力をつけたい
- ランニングのパフォーマンスを向上させたい
- カーボローディングってどうやるの?
というランナーにオススメの内容となっています。
あなたは炭水化物が体に悪いモノだと思っていませんか?
確かに運動量の少ない人が、炭水化物を食べ過ぎると体に悪影響がありますが、ランナーであればそこまで気にする必要はありません。
なぜなら、炭水化物は体を動かす大切なエネルギー源だからです。
ランニング中に炭水化物が枯渇してしまうと、体の中のエネルギーが空っぽになり、バテてしまいます。
そのため、ランニングパフォーマンスの向上と体のケアに炭水化物は欠かせません。
この記事を読むことで、炭水化物がランニングパフォーマンスに与える影響について分かるようになります。
炭水化物を効果的に利用し、レースでもバテない走りを実現しましょう!
100kmマラソンのサブ10ランナー。この記事は管理栄養士である妻の監修を受けています。
参考文献:
>>ランニングと栄養の科学
>>「走る」ための食べ方
炭水化物とはどんなもの?ざっくり解説
炭水化物は糖質とも呼ばれ、体のエネルギー源として重要な役割を持つ栄養素です。
主に米やパン、パスタ、ジャガイモなどの食品に含まれます。
炭水化物は、体内に入るとグリコーゲンという物質に変換され、肝臓や筋肉に蓄積されます。
グリコーゲンとは、多糖類の一種で、ブドウ糖が多数結合してできたものです。
このグリコーゲンこそが、人間の体を動かすエネルギーの源になります。
グリコーゲンが枯渇してしまうと、疲労感や低血糖症状が現れ、運動能力が低下します。
そのため、ランニングの前後は良質な炭水化物を摂取し、体の中にグリコーゲンを蓄えておかなければなりません。
さらにフルマラソンを走り切るためには、グリコーゲンを効果的に使う必要があります。
なぜなら、体に蓄えておけるグリコーゲンの量には限りがあり、効果的に使う方法を知らないとレース後半でバテてしまうからです。
それでは、グリコーゲンを効果的に使うにはどのようにすればよいのでしょうか?
フルマラソンでグリコーゲンを効果的に使う方法とは?
炭水化物(糖質)は、ランニング中のエネルギーとなるグリコーゲンを生み出す大切な栄養素です。
しかし、グリコーゲンは体に貯蔵できる量に限りがあるため、計画的に使用しなければなりません。
よくフルマラソンではレース後半にバテてしまうことを「30kmの壁」と言いますが、これは体内のグリコーゲンが枯渇し、体が動かなくなることを表しています。
体内に貯蔵できるグリコーゲンの量は成人男性(60〜70kg)で、約1600〜2000kclほどです。
フルマラソンで使用されるエネルギーは約2,500〜3,000kcalなので、グリコーゲンだけでは走りきれません。
そこで重要になるのが、糖質と合わせてランニング時のエネルギー源となる脂質(脂肪)です。
成人男性が体内で貯蔵している脂肪は約80,000kcal。
フルマラソン完走の秘訣は、この脂肪をエネルギーを上手く使い、グリコーゲンをできる限り温存することです。
そうすることで、レース後半になってもバテずに力強く走ることができます。
続いては、グリコーゲンエネルギーと脂肪エネルギーの特徴を見ていきましょう。
グリコーゲンエネルギーと脂肪エネルギーの特徴
グリコーゲンエネルギーの特徴は、次の通り。
- 体に貯蔵できるエネルギー量が少ない
- 無酸素運動などの高強度で短時間の運動に適している
- エネルギーを生産する速度が速いため、即座にエネルギーを利用できる
続いては、脂肪エネルギーの特徴です。
- 体に貯蔵できるエネルギー量が多い
- 有酸素運動などの低強度で、長時間の運動に適している
- エネルギーを生産する速度が遅いため、エネルギーに変換するまで時間がかかる
こう見るとお互いの欠点を補っているのが分かると思います。
グリコーゲンエネルギーと脂肪エネルギーは、どちらか一方だけが使われることはありません。
運動強度が高い時はグリコーゲンエネルギーが多く使われ、運動負荷が低い時は脂肪エネルギーが使われます。
つまり、ランニングのペースを上げればグリコーゲンエネルギーを多く消費し、ゆっくり走れば脂肪エネルギーを多く消費します。
このエネルギーのバランスが変わる「運動強度の切り替えポイント」のことをLT値といい、ランナーなら意識しておきたいポイントです。
LT値を下回るペースで走ると、体を動かすためのエネルギーはグリコーゲンよりも脂肪エネルギーを多く消費します。
そのため、フルマラソン後半でバテてしまう人は、30km付近までLT値を超えないペースで走ると、グリコーゲンが温存でき、レース後半でラストスパートをかけれます。
フルマラソンのタイムを伸ばしたい人は、このLTペースをあげる練習をするのが効果的です。
LTペースの底上げには、スピードとスタミナを強化するインターバル走や、ビルドアップ走が役立ちます。
また「カーボローディング」というグリコーゲを体に溜め込む食事法も有効です。
続いてはそのカーボローディングについて紹介していきます。
グリコーゲンを体に溜め込むカーボローディングとは?
カーボローディング(グリコーゲンローディング)とは、ランニングパフォーマンスを高めるためにランナーが取り入れる栄養戦略の一つです。
レース前に普段より多めの炭水化物を摂ることで、筋肉や肝臓に貯蔵されているグリコーゲンの量を一時的に増やし、体内のエネルギータンクを満タンにします。
やり方は簡単で、レースの3〜4日前から高炭水化物の食事に切り替えるだけ。
ただし、1日の総摂取カロリーは守る必要があります。
そうしないと、ただの食べ過ぎになってしまい、体重が増加してしまうからです。
ちなみに一般男性の1日の総摂取カロリーは、2,600kcal〜2,800kcalほど。
炭水化物を多めに取る代わりに、おかずなどを減らし、エネルギー量を調整します。
足りない分の栄養は、ミネラルやビタミン入りのプロテインを飲んで補いましょう。
摂取する炭水化物は、白い炭水化物より茶色い炭水化物のほうが体に良いです。
白い炭水化物とは、白米、パン、パスタなど。
茶色い炭水化物とは、玄米、オートミール、全粒粉食品のことです。
白い炭水化物は、精製された過程で、多くの栄養素や食物繊維が失われています。
また、消化吸収が早く、急激な血糖値の上昇を引き起こすこともあります。
反対に茶色い炭水化物は精製されていないため、ビタミン、ミネラルなど、多くの栄養素や食物繊維が含まれています。
消化吸収もゆっくり行われ、血糖値の上昇も穏やかになるのが特徴です。
レースの3〜4日前の炭水化物の摂取量は、体重1kgあたり、7〜10グラム程度です。
体重60kgの人であれば、1日あたり420〜600gの炭水化物を摂取することになります。
レースの1日前は、体重1kgあたり10〜12g程度の炭水化物を摂取します。
体重60kgの人であれば、1日あたり600〜720gです。
このようにレースの数日前から炭水化物を増やす食事を摂れば、筋肉に十分なグリコーゲンを蓄えることができ、長時間のランニングでも疲れにくくなります。
また、レース中にエネルギージェルを摂取することもフルマラソンでバテない秘訣の一つです。
ジェルの利点は以下のとおり。
- ジェル状なので消化が良く、グリコーゲンを素早く体内に補充できる
- ジェルに含まれるブドウ糖が、疲れによる集中力の低下を軽減することができる
- ミネラルやビタミンも豊富で疲れた筋肉の回復にも有効
カーボローディングにエネルギージェルを組み合わせることで、フルマラソンで自分の納得のいく走りに近づけるはずです。
最後にランナーにオススメな炭水化物(糖質)を紹介して終わりたいと思います。
ランナーにオススメの炭水化物
オートミール
オートミールは糖質以外にも食物繊維や鉄分、タンパク質、カルシウムなどが含まれており、栄養価が高い食べ物です。
食べ方は水にひたして、レンジでチンするだけ。
わたしは毎日の朝ごはんとして食べていますが、まったく飽きがきません。
パンや米に比べて健康的なので、体の内側からキレイになりたい人にオススメです。
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玄米
玄米もオートミールと同じく、ビタミンやミネラル、食物繊維を豊富に含んでいます。
白米に比べ、玄米はかみごたえがあり、香りも芳醇です。
そのため一度玄米になれると、白米の味では物足りなさを感じてしまいます。
美味しいのに腸内環境も整え、血糖値の上昇を穏やかしてくれるので、お腹いっぱい食べてもあまり罪悪感がありません。
白米と遜色のない美味しさなので、ぜひ一度試してみてください。
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エネルギージェル
メダリストのコンセプトは、ランナーの、ランナーによる、ランナーのためのエナジー補給ジェル。
糖質だけでなく、ナトリウムも豊富に含まれているため、運動中に発汗して失われた塩分の補充にも役立ちます。
口に入れてから、体力が回復するまでの期間が早く、わたしもよくレースで使っています。
加えて脳の疲れもとれるので、集中力の回復にも効果的です。
ジェルを持っていると持っていないとでは、フルマラソンの走りに大きく影響するので、一度試してみてはいかがでしょうか?
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まとめ:炭水化物を効果的に利用しよう
以上、ランナーの体を動かすエネルギー源である炭水化物(脂質)について紹介してきました。
ランニング中に炭水化物が不足すると、体力が低下してパフォーマンスが下がってしまいます。
そのため、普段から良質な炭水化物を摂取し、事前にグリコーゲンを体の中に蓄えておく必要があります。
また、体内にグリコーゲンを貯められる量は限られているため、フルマラソンなど長時間走る際はLT値を意識し、計画的に使用しなければなりません。
グリコーゲンの特徴を理解し、効果的に使うことができれば、フルマラソンでも自分の目標とするタイムに近づけるはずです。
炭水化物を効果的に利用し、レースでもバテない走りを実現しましょう!
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