あなたは牛丼チェーン店 吉野家の「生娘シャブ漬け戦略」事件のことを覚えていますか?
これは2020年4月、吉野家の有名マーケッターが若い女性をリピーターにするために
「田舎から出てきた若い女の子を無垢・生娘のうちに牛丼中毒にする」
と発言し、炎上したものです。
コンプライアンス的にも大問題なこの発言、アルコール業界のマーケティング関係者はドキッとしたのではないでしょうか?
なぜなら、アルコール業界も同じような戦略でリピーター(依存者)を増やそうとしているからです。
この記事では、そんなアルコール業界のマーケティング戦略について考察していきます。
お酒の幻想はアルコール会社のマーケティングによるものです。
悪どいマーケティング戦略に惑わされないよう宣伝広告の裏側を見極め、断酒を成功させましょう!
約20年間の大量飲酒を反省し、2020/9/25から断酒を継続中のランと登山が好きな人
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企業のマーケティング戦略に気をつけよう
冒頭の「吉野家 生娘シャブ漬け」戦略にあるように、サービスや商品を売る世の中の企業は、リピーターを増やすため、さまざまな戦略を練っています。
日本マクドナルド創業者の藤田氏は、「人間は12歳までに食べてきたものを一生食べ続ける」として、子どもたちをターゲットにしてきました。
マクドナルドのCMを思い出してみてください。
「子ども、家族、笑顔」これらのワードが入ったCMが多いですよね。
このようなイメージで「マクドナルド=楽しくて美味しい食べ物」と思い込ませ、子どもの頃からマクドナルドに好印象を持たせています。
その結果、幅広い年代のファンを獲得し、売上を大きく伸ばしてきました。
しかし、マクドナルドのようなジャンクフードは高糖質、高脂質に加え、多くの添加物が含まれています。
このような食べ物は脳の快楽中枢を刺激するため、強い中毒性があります。
そして当然のことながら、脂質・糖質・添加物を摂り過ぎれば、体にもメンタルにも悪い影響を与えます。
もし体に良いのなら、365日朝昼晩、食べても問題ないはずですよね。
実際に「30日間、1日3食、マクドナルドだけを食べ続けたらどうなるか?」を実験した『スーパーサイズ・ミー』というドキュメンタリー映画があります。
その結果、どうなったかというと次の通り。
- 精神疾患を発症
- 体重が11kg増加
- 心臓病のリスクが2倍に増加
- コレストロール値が65ポイント上昇
- 体脂肪率が7%増加し、脂肪肝と診断
ジャンクフードがどれほど体に悪い影響を与えるかがよくわかる映画でした。
しかしながら、マクドナルドの商品には「食べ過ぎると体に悪影響を与えますよ」という記載がありません。
良い印象だけを与え、デメリットを提示しないなんてフェアじゃないですよね。
消費者の健康より、会社の利益が優先なところは、アルコール業界とそっくりではないでしょうか?
そしてそのアルコール業界は、もっと巧妙なマーケティング戦略を仕掛けています。
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アルコール業界のマーケティング戦略
あなたはお酒に対してどのようなイメージを持っていますか?
おそらく、お酒をなかなかやめられないという人は、以下のようなイメージに囚われているのではないでしょうか。
- お酒は楽しいもの
- お酒は幸せを与えてくれるもの
- お酒は美味いもの
- お酒はカッコいいもの
- お酒は人付き合いに必要なもの
消費者にこう思わせれば、しめたもの。
喜んでお金を落とす従順なリピーターのできあがりです。
「お酒=人生になくてはならないもの」と思い込んでいると、メンタルや体を壊してもお酒をやめることが難しくなります。
ちなみにお酒が原因で病気になっても、アルコール販売会社が責任をとってくれることはありません。
「飲み過ぎは自己責任」で終わってしまいます。
あれほど「お酒は素晴らしいもの」だとプロモーションしておきながら、ひどい話ですよね。
アルコール販売会社はビジネス優先なので、消費者をリピーターという名の依存者に仕立てあげようとしか考えていません。
そのために、あれやこれやの方法でお酒のイメージアップを図っています。
これから、その戦略を一つづつ見ていきましょう。
お酒は楽しいもの
人気俳優や女優、お笑い芸人が、みんなでワイワイ楽しい雰囲気の中でお酒を飲み、とにかく笑顔で乾杯している。
このようなプロモーションの目的は
- お酒があると楽しそう
- お酒があれば笑顔になれる
- 楽しい場面にはお酒が必要なんだ
というイメージを植え付け「わたしもお酒を飲んで楽しみたい」と思わせるためです。
家族、友達、仕事仲間と楽しみたい時にはお酒が必要。
そう思わせることで、幅広い世代の人たちがお酒を買ってくれます。
しかし、みんなでワイワイ楽しむのにお酒が本当に必要なのでしょうか?
もちろんそんなことはなく、お酒のない食事会でも十分楽しめます。
わたしもお酒をやめる前まで信じられませんでしたが、これは本当です。
シラフであれば、飲みすぎて醜態をさらすこともなく、会話のキャッチボールもちゃんとできます。
あなたの印象もアップするはずなので、一度シラフで飲み会に参加してみてください。
思ったより楽しめることに驚くはずです。
お酒は幸せを与えてくれるもの
わたしは断酒を決意してからも飲酒欲求に悩まされ続けました。
その理由は「お酒は幸せを与えてくれるもの」という認識に囚われていたからです。
子どもの頃から
1日のご褒美にお酒を飲んでいる映像や
様々な場面で気持ちよくお酒を飲んでいる映像
を見て育ったので、そのような考えが刷り込まれてしまいました。
「疲れを癒すにはお酒が必要なんだ」
「憩いのひとときには酒は欠かせない」
「休日はお酒を飲んでゆっくりしたい」
と思わせることがアルコール業界の戦略です。
このように思い込ませれば、人は幸せを求めるためにお酒を手に取ります。
しかし本当に「お酒は幸せになれる飲み物」なのでしょうか?
わたしは1日の終わりに自分を癒すためお酒を飲み続けましたが、毎日ダラダラと時間を無駄にし、健康も害してしまいました。
今では洗脳が解け、晩酌の時間を読書や運動など、自分にプラスになることに使っています。
そしてお酒なんかなくても、心を癒せることもわかりました。
断酒にはメリットしかないので、まずは気軽にはじめて、その効果を実感してみましょう。
お酒は美味しいもの
「お酒は食事は欠かせないもの」
「手間暇かけて作ったお酒は美味しい」
というイメージも、アルコール業界のマーケティング戦略です。
「美味しい料理にはお酒が合う」と思わせたりするCMがよく流れていますよね。
また「水や製法にこだわり、手間暇込めて作った感」を出して、お酒の美味しさをアピールしているCMもあります。
しかし、美味しい食事はそのままでも十分美味しいです。
揚げ物とビールやハイボールが合うように感じるのは、ジャンクフードと同じ原理で、脳の快楽中枢を刺激するため。
手間暇込めて作った感を出しているお酒は、ちょっとした贅沢気分を味わいたい人の気持ちをくすぐるためです。
ところで、ちょっと思い出してみてください。
初めてお酒を口にしたあの瞬間、お酒を美味しいと思いましたか?
ビールもワインも日本酒もウィスキーも、最初の一口を美味しいとは思わなかったはずです。
美味しいと思うようになったのは「お酒を美味しいと思わないといけない」という、周りからの同調圧力があったからではないでしょうか。
初めて飲んだあの感覚が、お酒の本当の味です。
お酒を美味しいと思い込ませようとするアルコール業界の思惑に気をつけましょう。
お酒はカッコいいもの
- お酒は大人のたしなみ
- できる大人はみんな飲んでいる
- お酒のうまさがわかる人はカッコいい
あなたはお酒にこんなイメージをお持ちではないでしょうか?
当然、これらもマーケティングで作られた幻想です。
文化人やアーティストにお酒の魅力を語らせる
渋い俳優がカッコよくお酒を飲んでる姿を見せる
このようなプロモーションで「お酒を飲めるとカッコいい」と思わせ、消費行動を促しています。
一昔前はタバコでも同じようなテレビCMで流れていましたが、今では廃止されています。
その理由は、WHOから「健康被害の防止と未成年者の喫煙防止の要請」があったためです。
体に害を及ぼすタバコに子どもが憧れをもったら大変なので、当然ですよね。
そしてアルコールは、タバコと同程度の健康被害をもたらす飲み物です。
アメリカや欧州では、公共の電波でアルコールのCMを禁止したり、時間によって規制をかけたりしています。
日本のようにアルコール規制が弱く、野放し状態の国は世界でも類がありません。
WHOはアルコールを「世界の健康障害の最大のリスク要因の1つ」としています。
また世界共通の目標であるSDGsには「すべての人に健康と福祉を」という理念があり、「薬物乱用やアルコールの有害な摂取を含む、物質乱用の防止・治療を強化する」としています。
その目標達成のためにWHOは参加国へのアルコール規制に力を入れはじめました。
日本はアルコール利権ができあがっているので、海外のようなアルコール規制は遅れていますが、日本人が苦手な世界からの圧力なら、タバコのような規制が期待できるかもしれませんね。
>>日本WHO協会(健康と関連したSDGsの目標とターゲット)
お酒は人付き合いに必要なもの
- 人間関係にはお酒が必要
- 家族団らんにはお酒が必要
- 季節ごとのイベントにはお酒が必要
このようなイメージがメディアで繰り返し流されているため、わたし達は幼い頃から「人付き合いにはお酒が必要なんだ」と思い込まされてきました。
そしてその中には「みんなで飲むとより幸福感を味わえるよ」というメッセージも含まれています。
そのため、大勢で集まるイベント(花見や歓迎会や忘年会など)では、お酒があるのが当たり前になっています。
わたしは「お酒は幸せを与えてくれるものだ」という固定観念の塊だったため、そのような場でお酒を飲めない人や弱い人たちのことを「可哀想な人」だと思っていました。
洗脳が解けた今は、酷い勘違いをしていたと反省しきりです。
人間関係も家族団らんもお酒がなくても成立します。
逆にお酒があることでトラブルになったりしますよね。
またアルコールが入った方が本音が出ると言いますが、そんなことはありません。
なぜならアルコールで脳がバグった状態より、思考力が正常で理性をコントロールできる状態の方が本来の自分だからです。
お酒をやめた今、そのことが痛いほどよくわかります。
お酒をやめたい人は、一度シラフな状態で飲み会へ行って、そこにいる酔っ払いの言動や行動を客観的に見てみるのもいいかもしれませんね。
あなたにとってお酒は本当に必要なもの?
ここまで、アルコール業界のマーケティング戦略を紹介してきました。
- お酒は楽しいもの
- お酒は幸せを与えてくれるもの
- お酒は美味いもの
- お酒はカッコいいもの
- お酒は人付き合いに必要なもの
このようなイメージを子どもの頃から見て育ってきたらどうなるでしょうか?
もちろんお酒に興味が湧き、飲んでみたくなってしまいますよね。
あなたがお酒を飲みたいと思う原因もこのようなイメージの影響ではないでしょうか?
アルコール会社は、お酒を飲みすぎて健康を損ねたとしても、責任をとってはくれません。
これだけ「お酒は幸せを与えてくれるもの」と煽っておきながら、「お酒を飲み過ぎるのは自己制御できない人が悪い」というスタンスです。
しかもお酒のデメリットを積極的に公開していないので、その害に気づける人がなかなかいません。
アルコールには、
- 精神や体を壊したり
- 時間を無駄にしたり
- トラブルを起こしたり
- お金を無駄にしたり
人生にマイナスな影響がたくさんあります。
そして最近ではお酒は少量でも体に悪影響を及ぼすという研究結果も発表され、その結果が常識となりつつあります。
お酒の害を全て理解して、それでも飲むというならまだわかりますが、知らず知らずのうちに依存させるマーケティングには悪意を感じますよね。
お酒をやめられなくて苦しんでいる人は、なぜ自分がお酒を飲みたくなるのか、一度見つめ直してみましょう。
おそらくその大半の理由は、お酒は幸せを与えてくれる飲み物だと子どもの頃から刷り込まれたものではないでしょうか?
そうであれば、自分が本当に望むものは何なのか、そしてその望むものを手に入れるためにはどうしたら良いか考えてみると良いかもしれませんね。
【参考】断酒・禁酒のお助け本
酒ジャーナリストである著者が、各分野14の専門医に「アルコールが人間に与える影響」を取材し、まとめた1冊。
この本の趣旨は「健康的に酒を楽しみたい」というものですが、専門医からは「アルコールは体や脳に良いことは何もない」「すべての病気の根源になる」と言われ、著者が追い詰められてしまいます……
客観的な目線と科学的根拠をもとに「アルコールの基本からアルコールが人体に及ぼす害」についてが、分かりやすくまとまっているため、アルコールのリスクを確認できる本としておすすめです。
大酒飲みだった作家(元パンクロッカー)の断酒エッセー。
断酒に対する考え方が面白く、ためになる名言がたくさん出てきます。
断酒を手助けしてくれる良書です。
アルコール依存症の専門医が書いた「お酒のない人生」をサポートしてくれる本です。
お酒のデメリットや、お酒をやめて起こるメリットを丁寧に解説してくれています。
具体的な「節酒・禁酒術」の解説もあり、お酒をやめたい人にぜひ読んでもらいたい一冊です。
こちらの記事でも断酒関連のおすすめ本を紹介しています。
【断酒・禁酒のお助け本】お酒に負けない知識が学べるおすすめ本一覧
断酒を成功させるには、アルコールの正体を知ることです。
正しい知識を手に入れ、お酒に打ち勝ちましょう!
まとめ:アルコール業界のマーケティングを見極めよう
アルコール業界の目的は、アルコールの売り上げを伸ばし、会社を成長させることです。
そのため「お酒を飲むことは幸せなことなんだ」と思ってもらうことにやっきになっています。
そう思わせることで、心の隙間を満たしたい人たちにお酒をリピートさせ、会社の売り上げを伸ばそうとしています。
この手法の何が問題かというと、消費者の健康より、会社の利益が優先なところです。
売上のためならストロングゼロなどの危険な商品でも、消費者が飲みたくなるようなプロモーションを平気でおこなっています。
しかも消費者はそのような危険な飲み物が普通に売られるはずがないとの認識があるので、ノーガードで受け止めてしまいます。
アルコール業界はあの手この手で消費者を誘惑し、お酒を買ってもらおうとしています。
その戦略に惑わされないためには、アルコールの害を学び、断酒を継続し、そのメリットを実感するのが1番です。
正しい知識を手に入れ、自分が望む未来を思い描ければ断酒を継続できるはずです。
以上、最後までご覧いただきありがとうございました!