今回は双耳峰の山容が美しい上越国境の百名山、「谷川岳」の紹介です。
谷川岳は2,000mにみたない標高ですが、森林限界が1,500m付近と低く、3,000m級の山の雰囲気を楽しめます。
コースは登りを西黒尾根、下りは天神尾根と田尻尾根を使用しました。
二つの山頂からの眺めは「360度の大展望」という言葉がふさわしく、贅沢なひとときを過ごせます😄
関東圏からのマイカーアクセスが簡単なのも魅力の1つ。
そんな谷川岳のコース情報や注意点をまとめてみましたので、谷川岳登山に興味のある方はぜひ参考にご覧ください😀
谷川岳 基本データ
谷川岳は日本百名山の1つに数えられ、「トマの耳」「オキの耳」という名の2峰がよりそう双耳峰です。
トマの耳は別名「薬師岳」、オキの耳は「谷川富士」と呼ばれ、オキの耳から北へ5分ほど歩くと、富士浅間神社の奥の院が鎮座しています。
また群馬県と新潟県の県境にあり、日本海側と太平洋側の気候の境界に位置します。
そのため気象が変りやすく、天候の急変には注意が必要です。
冬季は季節風の影響で大量の雪が降り積もり、山頂付近の登山道には7月初旬まで雪が残ります。
厳しい気象条件下にあるため、通常は標高2,500~3,000m付近にある森林限界が、標高1,500m付近となり、アルプスのような開放的な雰囲気を楽しめます。
標高 | 谷川岳(双耳峰) トマの耳:1,963m オキの耳:1,977m |
---|---|
所在地 | 群馬県・新潟県の県境 |
エリア | 谷川連峰 |
登山適期 | 6月後半から10月末 |
残雪期 | 4月後半から6月中旬 |
冬山 | 11月から4月末 |
ちなみに谷川岳は遭難死者数のワースト記録(2012年までで805名)としてギネスに登録され、魔の山とも呼ばれています。
しかしそのほとんどが、日本のロッククライミング黎明期に岩壁に挑んだ若きクライマーたちで、厳冬期や未開ルートに挑戦する過程での遭難事故が大半です。
その9割が10代から20代の若者たちで占められ、現在までに約790名のクライマーが命を落しています。
谷川岳は日本有数の岩場として有名ですが、一般の登山コースはそこまで危険ではありません。
詳しくは下段のコースデータをご覧ください。
谷川岳コースデータ
コースデータ詳細:【】内は通常コースタイム
- 土合橋駐車場(標高約684m)→【0:20】→西黒尾根入口(標高約800m)
- 西黒尾根入口→【2:40 】→ラクダのコル(厳剛新道分岐)(標高約1,493m)
- ラクダのコル→【1:20】→トマの耳(標高約1,963m)
- トマの耳→【0:10】→オキの耳(標高約1,977m)
- オキの耳→【0:15】→肩の小屋(標高約1,912m)
- 肩の小屋→【1:00】→熊穴沢避難小屋(標高約1,467m)
- 熊穴沢避難小屋→【0:40】→天神平ロープウェイ駅(標高約1,319m)
- 天神平ロープウェイ駅→【1:10】→田尻尾根入口(標高約920m)
- 田尻尾根入口→【0:40】→土合橋駐車場(標高約684m)
通常コースタイム:約8時間20分(休憩含まず)
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西黒尾根
日本三大急登の1つに数えられる西黒尾根は、標高差約1200m、3.9kmの道のりを4時間10分かけて登ります。
樹林帯の急登や鎖場、展望のいい稜線歩きと変化に富んでおり、登山者に人気のコースです。
登山レベルでいうと中級レベル、丁寧に登ればそれほど危険な箇所はありません。
しかし下山時には岩肌が滑りやすいため、注意が必要です。
ラクダのコルと呼ばれる場所で巌剛新道と合流しますが、その入口には以下のような注意書きがあります。
どうやら登山道が荒れてるため、下山に使用するには向いてないようです。
天神尾根
麓の土合口駅(標高746m)からロープウェイを利用し、天神平駅(標高1,319m)から登山を開始するお手軽なコース。
ロープウェイ料金は片道1,250円、往復2,100円、所要時間は約15分ほどです。
天神平駅からトマの耳まで標高差約640m、2.9kmの道のりを2時間15分かけて登ります。
全体的に危険箇所も少なく、展望のひらけた歩きやすいコースです。
天神平駅には「ビューテラスてんじん」というレストランがあり、谷川連峰を眺めながら食事もできます。
田尻尾根
田尻尾根を登りで使用する場合、案内表示がないため取りつきがわかりにくいです。
田尻尾根へは、谷川ベースプラザ手前の以下の場所からアプローチします。
ここからトマの耳まで標高差約1,200m、5kmの道のりを4時間10分かけて登ります。
ロープウェイ下の砂利道を20分ほど歩くと、右手に田尻尾根の入口が見えてきます。(入口付近には、ピンクリボンがたくさんぶら下がっていました)このコースは、木の根や粘土層の路面が滑りやすいので、下りは注意が必要です。
ここから約450m標高をあげると、天神尾根コースと合流します。
ロープウェイ代を節約したい人にオススメです。
谷川岳のコース難易度
谷川岳の難易度は群馬県が作成した山のグレーディング 一覧表によると、
[西黒尾根コース] 体力レベル:3、難易度レベル:C
[天神尾根コース] 体力レベル:2、難易度レベル:B
体力レベルは1~10まであり、10が一番上、難易度レベルはAからEまであり、Eが最難関です。
詳しくは「群馬県 山のグレーディング」をご覧下さい。
谷川岳コースレポート
土合橋駐車場→西黒尾根→トマの耳
この日は妻からのリクエストで谷川岳へ。(登山日は21/6/18)
私は谷川岳とは相性が悪く、今まで6回ほど登ってますが、景色に恵まれたのは2回ほど。
この日も予報は晴れでしたが、関越道から見える谷川岳方面は、雲におおわれていました😓
土合橋近くの無料駐車場に車を止めて、7時45分にスタート。(トイレはすぐ近くの土合駅にあります)
谷川岳ベースプラザと登山指導センターを通り過ぎ、ジグザクの舗装路を登ると西黒尾根の登山口に到着。
ここから3.7km、標高差約1,150mほどの急登がはじまります。
緑が鮮やかな樹林帯が続き、10分ほど登ると、
鉄塔がそびえる開けた場所に出るので、景色を眺めるついでに一休み。
ここから本格的な樹林帯の急登が続きますが、みずみずしい緑が気持ちいい道なので、不思議と飽きずに登れます。
途中には、疲れた登山者のためを思ってか、ベンチのように曲がったコがお出迎え😀
樹林帯が終り、開けた場所にでると、
コース上から天神平のロープウェイ駅がよく見えました。
ここから少し進むと、第1のクサリ場の登場です。(西黒尾根には3箇所、鎖場があります)
写真では険しそうですが、実際は斜度もそこまでなく、手や足をかけれる場所もあるため、丁寧に焦らず登れば問題ありません。
第1のクサリ場をこえると、本格的な稜線歩きの開始です。
まもなくして、第2のクサリ場があらわれます。
クサリ場をクリアして先へ進むと、ラクダの背に到着です。
山頂付近はガスってますが、反対側の朝日岳方面は晴れてきました😀
ラクダの背を下ると、巌剛(がんごう)新道との合流点であるラクダのコルに到着です。
ラクダのコルからは、岩場の急登が連続します。
岩に気をとられ、下ばかり見ながら歩くとコースを見失うので、ルートを確認しながら歩きましょう。
足元の岩は滑りやすいですが、一歩一歩ゆっくり丁寧に登れば、さほど危険はありません。
岩場地帯をクリアすると、まわりが低い笹でおおわれはじめます。
このあたりまでくると、上のほうで青空が見えだしました😄
最後のクサリ場を登り、しばらく進むと、
ようやくトマとオキが綺麗に顔を出してくれました👍
夏でも残る雪田がみえたら、頂上までもう少し。
足を滑らせないよう慎重にわたり、上に見える十字架のような案内標識を目指します。
肩の広場にたどり着くと、トマの耳はもう間近。雄大な展望を期待して、足を進めます。
トマの耳 ⇔ オキの耳
長い西黒尾根が終り、トマの耳に到着!
青空も広がり、見晴らしは言うことなし😁
トマの耳からはこれから向かうオキの耳、その奥には巻機山、その手前に朝日岳や笠ヶ岳、白毛門が一望。
オキの耳の左側には一ノ倉岳と茂倉岳も仲良く連なっています。
西へ目を移すと、俎嵒(マナイタグラ)や万太郎山、平標山へ続く稜線、その奥には苗場山など、雄大な景観が広がります。
トマの耳で絶景を堪能したあとは、歩いて10分ほどのオキの耳へ出発。
稜線の途中でトマの耳を振りかえってみると、思わず声が出そうになるほど迫力ある山容です。
見晴らしもいいので、このあたりの開けた場所でお昼タイム。
絶景をみながらのカップラーメンとおにぎりは最高の贅沢です😆
20分ほど休憩したあとは、滑りやすい岩の上を慎重に進み、オキの耳に到着!
トマの頂上より若干せまめですが、眺めは引けをとりません。
こちらでも谷川連峰周辺の名山をぐるりと堪能。
そのあとは、一ノ倉岳方面に歩いて5分ほどの「富士浅間神社 奥の院」へ向かいました。
オキの耳は別名「谷川富士」とも呼ばれ、古くから信仰の対象として親しまれています。
立派な社へ登頂のお礼と、無事下山できるようお願いをして、帰路につきます。
稜線では高山植物がきれいに花を咲かせていました。
通りがかりの人に花の名前を教えてもらいましたが、あいにく花には無頓着なもので、忘れてしまいました😅
雄大な景色が名残惜しいですが、道すがら「天神平ロープウェイ駅のレストランでソフトクリームを食べよう」ってことになったため、上ずった気持ちで天神尾根を下ります🍦
天神尾根→天神平レストラン→田尻尾根
天神尾根を下る前に、肩の小屋でトイレ休憩。
肩の小屋はトマの耳から5分ほどの場所にあり、5月から11月の間は食事つきで宿泊可能です。
休憩スペースも広く、トイレも水洗です。
小屋から天神尾根コースを少し進むと、斜面に約30mほど雪が残っていました。(2021/6/18現在)
けっこうな斜面なので、路面も滑りやすく、下りは注意が必要です。
毎年7月中旬まで雪が残るので、不安な方は軽アイゼンかストックがあると安心ですよ。
雪の残った斜面をクリアすれば、あとは危険箇所はありません。
天狗の留まり場という見晴らしのいい岩場から、下りてきた道を振り返ると、
谷川岳の穏やかな山容をみることができます。
岩場からの眺めも素晴らしく、水上の町並みも小さくみえました。
この先は木立に囲まれた、滑りやすい砂礫の登山道が続きます。
慎重に下っていくと、赤色屋根が特徴の熊穴沢避難小屋に到着です。
ここまでくれば斜面がゆるみ、歩きやすい木道が続きます。
この区間の開けた場所からは、西黒尾根の稜線を望め「あそこを登ってきたんだな」と、ちょっとした達成感を味わえました😁
しばらく歩くと天神峠との分岐があらわれ、そこをロープウェイ駅方面へ進みます。
そして数分歩くと、田尻尾根との分岐に到着。
ロープウェイ駅に寄らない場合は、矢印の方向へ進めば田尻尾根経由で下山できます。
分岐から5分ほどで、ロープウェイ駅に到着し、ここで一休み。
「ビューテラスてんじん」で待望のデザートタイムです😄
ソフトクリームを食べようかと思いましたが、ほぼ同じ値段でソフトクリームがのったコーヒーゼリーがあったので、そちらを選択。
展望のいい席で、コーヒーのいい香りとミルクが濃厚なソフトを満喫しました😋
30分ほどゆっくりしたあとは、ロープウェイに乗らず、田尻尾根経由で下山します。
先ほどの分岐地点まで歩き、田尻尾根へ。
前日に降った雨のせいもあり、粘土質の路面が滑りやすくなっていました。
滑りやすいことを除けば、この尾根は木立が美しい静かな道です。
ロープウェイ下にでると、田尻尾根は終了。
あとはこの砂利道を進めば、ロープウェイ駅そばの道路にたどり着きます。
そのまま道路を下り、土合橋へ。
土合橋前からは、なかなか立派な「土合砂防堰堤(どあいさぼうえんてい)」を目にできます。
この堰堤は昭和16年に建造され、群馬県初のアーチ式堰堤だそうです。
間近でみると迫力があり、滝しぶきにマイナスイオンを感じました😀
駐車場に戻ってきたら、汗を流すため水上駅前の町営温泉へ。
この「ふれあい交流館」は私のお気に入りで、谷川岳周辺の登山の際にいつも利用してます。
ここでようやく一息です♨
こじんまりとした内湯のみですが、湯加減もちょうどよく、ゆったり過ごせました。
今まで谷川岳には雪山や馬蹄形も含め6回訪れてますが、久々に見事な景色を堪能できて大満足!
今まで相性が悪かった谷川岳にようやく気に入ってもらえたかな🤔
登山便利グッズ
Buff(バフ)はあると便利な高機能ヘッドウェアです。汗を素早く吸収し、尚且つ速乾性や防臭機能もあります。デザイン性もよく、10通り以上のアレンジが可能です。
スノーピークの超軽量(178g)折りたたみ傘。収納サイズも22cmと小型で、ザックに入れておけば、突然の雨にも安心。
ジェットボイルフラッシュは、0.5リットルの水を約1分40秒で沸騰させます。コーヒー用のお湯も、カップラーメン用のお湯も、あっという間に沸騰します。日帰りでもテント泊登山でも重宝する優れ物です。
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温泉・お風呂
ふれあい交流館:町営の日帰り温泉
【入浴料】600円
【営業時間】11:00~21:00
【定休日】火曜日(休日の場合は翌日に変更)
【備考】一度利用すると100円割引券もらえます
湯テルメ谷川:大きな露天風呂あり
【入浴料】630円
【営業時間】10:00~20:30(受付終了20:00)
【定休日】第3木曜日(休日の場合は翌日に変更)
【備考】7月~10月は 朝9時から営業
鈴森の湯:食事が自慢の日帰り温泉
【入浴料】800円
【営業時間】11:00~20:00(受付終了19:00)
【定休日】第2水曜日(休日の場合は翌日に変更。8月は無休)
【備考】”ひのき”や”露天”とお風呂が充実
地図情報
谷川岳へのアクセス
公共交通アクセス
【電車】
・JR上越線「水上駅」下車後、「谷川岳ロープウェイ」行きバスで約25分(バス時刻表)
・JR上越線「土合駅」下車後、徒歩約15分
マイカーアクセス
土合橋駐車場/白毛門登山口駐車場:
【駐車台数】約50台
【料金】無料
【営業時間】24時間
【備考】トイレなし、近くの土合駅にはあり
谷川岳インフォメーションセンター駐車場:
【駐車台数】約300台
【料金】無料
【営業時間】24時間
【備考】センターは令和3年6月19日オープン。訪れた日はセレモニー準備をしてました
谷川岳ベースプラザ:ロープウェイ乗り場直結
【駐車台数】約1,000台
【料金】グリーンシーズン:500円/スキーシーズン:1,000円
【営業時間】24時間
【備考】夜間・早朝も入庫可能でトイレもあり、車中泊に向いてます
まとめ
「初夏の谷川岳トレッキング」はいかがだったでしょうか?
4年ぶりに訪れた谷川岳は天候に恵まれ、頂上からの素晴らしい景色に心癒されました。
谷川岳の特徴を簡単にまとめると、こんな感じです。
よいところ:
・眺望抜群!
・樹林帯から岩場まで、変化に富んだ登山道
・アルペン的な景観を味わえる
注意点:
・天候が変わりやすい
・足元の岩場や木道が滑りやすい
・肩の小屋近辺は7月初旬まで残雪あり
西黒尾根は変化に富んだ面白いコースなので、初級から中級へのステップアップにちょうどいいオススメコースです。
次回はロープウェイを利用し、山頂でゆっくり山ごはんというプランを楽しみたいと思います😃
それでは、最後までご覧頂きありがとうございました!